ピロリ菌とは?症状や原因
ピロリ菌とは
ピロリ菌は、胃粘膜に生息しているらせん状の形をした菌で、正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」と言います。
胃の中は強い胃酸が分泌されているため、通常の細菌は胃の中で暮らせません。しかしピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を出し、胃酸を中和しアルカリ性の環境にするため、胃の中でも棲み続けられるのです。
ピロリ菌に感染しているときの症状
ピロリ菌が胃の中にいるだけでしたら、特に症状は現れません。症状が出るのは保菌者の30%程度で、ピロリ菌によって何らかの疾患を発症したときだけです。例えば、胃炎を発症すると胃もたれが起き、胃潰瘍になると胃がしくしく痛むようになります。
ピロリ菌に感染しても無症状で済んでいる、残りの70%の方は、「健康保菌者(または無症候キャリア)」と呼ばれています。
感染の原因
ピロリ菌の感染経路は、いまだにはっきりと分かっていません。口を介して感染する「経口感染」ではないかと言われています。まだ上下水道が普及されていなかった世代の感染率が高いことから、「ピロリ菌の感染率は、幼い頃の衛生環境が関与しているのではないか」とも考えられています。
ピロリ菌検査はした方が良い?受けるべき人の特徴
ピロリ菌感染による胃がんリスク
ピロリ菌に感染したままでいると、慢性的な胃炎を引き起こし、胃の粘膜が委縮する「萎縮性胃炎」になる恐れがあります。萎縮性胃炎は、胃がんの発症リスクを上昇させてしまう疾患です。実際に、ピロリ菌に感染している方は、そうでない方よりも胃がんリスクが5倍もあると指摘されています。
胃がんのリスクを少しでも下げるためにも、慢性胃炎などの症状がみられる方は、一度検査を受けて除菌治療を受けられることを推奨します。
検査をおすすめする方
- 胃が弱い体質の方
- 胃の調子が良くない方
- 食事をした後、胃がムカムカする方
- 胃・十二指腸潰瘍を何度も繰り返す方
- 慢性胃炎が治らない方
- 胃がんにならないか不安な方
など
ピロリ菌の検査方法
ピロリ菌に感染しているかを調べる方法ですが、「内視鏡を使う方法」と「使わない方法」に分かれています。
内視鏡検査を行う場合
迅速ウレアーゼ試験
胃の組織の一部を採り、特殊反応試薬に付けてアンモニアの有無を調べる方法です。ピロリ菌が出す、ウレアーゼ酵素の働きを利用しています。
組織鏡検査
胃の組織の一部を採り、特殊反応試薬に付けた後に顕微鏡で観察していく方法です。 この方法も、ピロリ菌が持っているウレアーゼ酵素の働きを活用しています。
培養法
胃粘膜をすりつぶした後に、ピロリ菌の発育環境で培養し、ピロリ菌がいるかどうかを調べる方法です。
内視鏡検査を行わない場合
尿素呼気試験
検査薬を服用していただいた後の呼気を採取し、二酸化炭素の量を測定してピロリ菌感染の有無を調べる方法です。一番精度が高い方法として知られています。
抗体測定検査
血液や尿を採取し、ピロリ菌の抗体ができていないかを調べる検査です。
糞便中抗原検査
便の中に含まれているピロリ菌抗原を調べる検査です。
ピロリ菌の除菌方法と流れ
1検査
主に「迅速ウレアーゼ試験」を行い、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べます。
2除菌治療(1回目)
ピロリ菌に感染していることが確認できましたら、除菌治療を始めます。2種類の抗菌薬と酸分泌抑制薬を、朝食後と夕食後に1日2回飲んでください。
服用は1週間続けてください。
3再検査
除菌できたかを調べるため、服用が終わってから約2ヶ月後に「尿素呼気試験」を受けていただきます。除菌が確認でき次第、治療終了となります。
4除菌治療(2回目)
1回目で除菌できなかった場合は、2回目の除菌治療を受けていただきます。
2回目までは保険診療で受けられますが、3回目以降は自費診療の扱いとなります。
5再検査
除菌ができたかを確かめるために、服用期間後から2ヶ月後ぐらいに「尿素呼気試験」を 受けていただきます。除菌が確認でき次第、治療終了となります。
2回目までの除菌治療の成功率は99%とかなり高く、多くの方が保険適用内で除菌できています。
ピロリ菌除菌の注意事項
除菌治療に注意が必要な対象者
以下に当てはまる方は、事前に医師へ必ずお伝えください。
- 過去に薬を服用して、アレルギー症状を起こしたことがある方。
- ペニシリン等の抗菌薬を服用した後に、ショック等の重篤なアレルギー症状を起こしたことがある方。
- 抗菌薬や風邪薬を服用した後に、副作用が出たことがある方
服薬のルールは必ず守りましょう
- ピロリ菌をきちんと除菌するため、渡された薬は必ず飲み続けてください(3剤を同時に、1日2回、7日間服用を止めずに続けてください)
- 服用を中断すると除菌に失敗し、治療薬に耐性を持ったピロリ菌になってしまう恐れがあります。
- 二次除菌療法を行っている期間中は、飲酒をしないでください。
副作用について
- ピロリ菌をきちんと除菌するため、渡された薬は必ず飲み続けてください(3剤を同時に、1日2回、7日間服用を止めずに続けてください)
- 服用を中断すると除菌に失敗し、治療薬に耐性を持ったピロリ菌になってしまう恐れがあります。
- 二次除菌療法を行っている期間中は、飲酒をしないでください。